深谷まで車を運び、次の仕事先は入間。移動は電車だ。
ナビで調べたら秩父鉄道をずっと奥の方までいって、そこから西武線に乗れと出た。ものすごい大まわりだが、これが一番近いらしい。
秩父のほうは以前からちょくちょく足を踏み入れている。
最初は旅行添乗員時代、秩父夜祭りを観に行くツアーで来た。
昼ごろ現地に着いたらその場で自由解散、祭りが終わってお客が戻ってくるまでずっと自由時間というラクでオイシイ仕事だったが、時間が長すぎて持て余してしまい、ヒマをつぶすのに困った。
もちろんお祭りのほうもたっぷり見学できた。勇ましい山車の行列やクライマックスの夜空に打ち上がる花火を大勢の人ごみの中で鑑賞した。
おそらく去年の年末はコロナのために中止になったのだろう。今年も開催は難しいのではないか。
長瀞にもツアーの添乗でよく行った。お客と一緒に船に乗ってライン下りをしたようなしなかったような。
あとは札所めぐりもやった。添乗員はお客全員の御朱印帳を預かってお寺につくたびに御朱印を押してもらいに行かなければならない、けっこうめんどうなコースだった。
そうそう忘れちゃいけない、秩父鉄道では定期的にSLを運行していて、それに乗るツアーもやった。黒い煙を上げながら汽笛を鳴らす機関車に子どもたちは大喜び。ただ乗ってみると普通の電車とそれほど変わらなかった（汗）。
そんなふうに仕事がらみで行った場所に、あとからプライベートで訪れたりもする。やっぱり仕事で来るとゆっくり楽しめないし。
今日も仕事っちゃ仕事なんだけど、電車の窓から秩父の山々を眺めていると、すっかり旅行気分になってしまう。朝方激しく降っていた雨もやみ、空も山もまだ夏の雰囲気だ。
考えてみれば電車で秩父まで来るのはほとんど初めてかもしれない。いつも観光バスやプライベートもたいてい車なので。
御花畑という駅で降りる。西武線まで歩くあいだ、立派なお寺を見つけたり遠くに雲をかぶった武甲山が見えたり。もうなんか仕事しないでこのまま市内散策したくなってしまった。
西武秩父の駅がだいぶ変わっていて驚いた。一番びっくりしたのは駅の隣の温泉施設だ。
添乗でよく来てた頃は、この施設のあった場所には小さなお土産やさんが並んでいたような記憶がある。
駅そのものも立派な建物に生まれ変わっている。逆にいえば昔の風情みたいなものがなくなって少し残念だけど。
せっかく秩父まで来たのでお土産にくるみゆべしを買った。もう完全に仕事投げ出してるわな。
お祭りのときはにぎわっていたが、ふだんの秩父は閑散としていて、やはり地方の閉塞感を感じさせる。コロナの影響も大きいのだろう。
今度またゆっくり来てみたいと思いながら、慌ただしく西武線の上り列車に乗った。
