前回書いた上田正樹ライブがはねたあとのアフターライブの話です。
コンサート終演後、久しぶりに夜遊び気分で駅前をブラブラ、安い酒場が立ち並ぶ路地にもぐりこむ。アルコールなんかさらさら飲む気もないんだけど。
10メートル歩くたびに呼び込みのあんちゃんやねーちゃんから声をかけられる、いかにも昭和の盛り場を思わせる界隈だ。いつもにぎわっているけれど、今日はゴールデンウィークのせいかさらに活気にあふれているようだ。
最近はどんな街に行ってもこんなレトロチックな風景にはお目にかかれない。そのせいか北千住は少しずつ人気が復活し、一部では「東の吉祥寺」などとも呼ばれているようだ。大学も移転してきて若い学生も増えたし。
飲み屋街の奥へ進むとやたら映画や演劇のチラシを壁に貼り付けた店がある。
店の前に立ってチラシを眺めてたら店主のおっさんが出てきて、僕が着てるTシャツを指差し「それは有名な××のブランドでどうたらこうたらで、けっこうレアなTシャツだよ」とウンチクをたれ始める。
いや、これユニクロで買ったんですけど…
とまあ、夜の街を歩いてるとこんな面白いエピソードに出くわすこともある。
いま住んでる埼玉から近いのでふだんそんなに意識しないけど、ここは自分の生まれ育った場所でもあります。
まあ半世紀近く過ぎてるので街の様子もずいぶん変わったけど。それでもときどき遊びに来てるせいかあまり変化は感じられない。
かなり昔の話だけど、駅前通りから横に入ると古いビルの2階にジャズ喫茶があって、2、3度中をのぞいたことがある。店の名前ももう覚えてないけど。
コンサートを観た帰りなのでちょっと音楽にひたりたくなり、今もあるかどうかわからないけどグーグルナビで検索してみた。
するとジャズバーが一軒見つかる。むかし行ってたとことは違うみたいだけど、まあ音楽が聴けるならどこでもいいやと足を運んでみた。
飲み屋街の奥のさらに路地を曲がったところにあって、いかにも時代を重ねた感じの店だ。中に入るとミュージシャンのポスターが壁を埋め尽くし、棚にはアナログ盤がぎっしり並んでいる。
カウンターに坐り、アルコールがダメなのでジンジャーエールを注文。
同じカウンターには地元の常連らしい先客が2、3名。身内の話で盛り上がっていてよそ者にはちょっと居心地が悪い。
ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」なんかが流れ、いかにもムーディでシャレオツでアダルティな雰囲気だ(何を言ってるのかわからん)。個人的にはコルトレーンみたいなワイザツで激しいやつが好みなんだけど。
ジンジャーを読み干して席を立ちながら「むかしこのへんにジャズ喫茶ありませんでしたか」と聞いたらマスターはやはり覚えていて「とっくに閉店したよ」という答えだった。やっぱりそうか。
それはそうと、出された請求を見ると1400円の値がついていた。え、ソフトドリンク1杯で? メニューには600円て書いてあったのに。
ぼったくりの店かと思ったが、あとで店のHPを見たらテーブルチャージが800円つくのだと判明した。
そうか、ふだんあまり入らないので忘れてたが、お酒出す店は席料というものがあったよな。
ま、これもライブ料金の一部ということにしておこう。大型連休にふさわしい豪遊をしてしまった。