日常ゴーゴー!

取るに足らない日常の記録にただただ徹するブログ。

イヤーワーム。

f:id:nanasee:20231111072725j:image

イヤーワームという言葉を最近聞くようになった。

耳のなかに虫がいて羽音でうるさい状態、転じて脳内にさまざまな雑念がわいて集中できない症状を言うらしい。

あまりに雑念が多くて目の前のことに集中できず、仕事などで失敗をやらかしがちという困った状態だ。

また、頭のなかで常に音楽が鳴り続けているという人たちもいる。これなどもイヤーワームのひとつだろう。

発達障害の持ち主にこの症状は多いらしい。発達障害者がなぜ凡ミスが多いのかの原因のひとつと考えられているようだ。

自分もADHDの診断を受けており、イヤーワーム持ちだ。脳内で音楽が流れていることも多い。自分はそれが当たり前だと思っていたがほかの人はそうでもないらしい。

イヤーワームも子どものころからあって、自分的には特別なことではなかった。これには原因と思えることがあって話は保育園時代までさかのぼる。

当時僕の通っていた保育園には昼食のあとに「お昼寝の時間」というのがあった。

園内の大きな一室にみなで布団を敷き、パジャマに着替えて寝るのだが、まだ昼どきだ。子どもたちはみんな元気いっぱいだし、そう簡単に眠りにつけるわけがない。

はじめは他の子たちも布団の上で飛び跳ねたりして騒いで先生から叱られたりしていたが、やがてひとりふたりと寝静まり、最後は起きている子は誰もいなくなってしまう。

僕は最後まで眠れなかった。特別寝つきの悪い子どもだったのかもしれない。

ほかの子たちはみな寝入ってしまい、大きな部屋に響きわたる寝息の大合唱に耳を傾けながら、ほかにすることもなく退屈まぎれに頭のなかでさまざまな空想をめぐらせていた。

脳内で自分自身と、あるいは誰かとおしゃべりしている状態といえばいいだろうか。実際に声が聞こえることはないけれど。

ひたすら耐えるしかない昼寝の時間。話し相手もなく、自分のなかにしだいにイマジナリー・フレンドができあがっていたのかもしれない。

自分だけ寝られなかったのは、もしかしたら睡眠障害もあったのかもしれない。とにかくその保育園時代に自分のなかでイマジナリー・フレンドと築いた「想像の世界」が出来上がってしまい、現実世界を生きながら常に心は空想のなかを遊んでいる感じがあった。

保育園を卒園し、その後小中高と学校生活を送ったが、通常の暮らしの中でも自分だけカン違いや凡ミスが多く、同級生からは軽くバカにされる存在だった。それがますます自分を現実から空想の世界に逃避させる結果になったのかもしれない。

いまではイヤーワームを解消させる薬もできて、それを飲むと頭がスッキリし、日常生活が楽になったという声も聞く。

しかし自分の場合イヤーワームがなくなると、同時に子どもの頃から慣れ親しんでいる空想の世界も一緒に失うことになる。これは考えものだ。

うるさいといえばうるさいけど、このイヤーワームと死ぬまでつきあうことになるんだろう。

※フリー画像は「イラストAC」より。