土日も関係なく陸送の仕事。
午前中は近場を2ヶ所まわって車を引き取り、午後からちょっと遠くの茨城県阿見町まで常磐線に揺られていく。
県境の川を渡ると窓の外には広々とした風景が広がり、ホッとした気持ちになる。午前中の目まぐるしさでヘロヘロだったが少し疲労も回復した。
途中から空を覆うように真っ黒な雲が広がり始める。
もしかして土砂降りか。まずい、傘持ってきてないぞ‥‥。
土浦駅で降りたらすでにもう降りだしていて、階段のあちこちを水が流れ落ち、小川のせせらぎのようになっている。
あちゃーと思ったがバスを待っているうちに雨足はどんどん弱くなり、やがて雲間が切れ太陽が顔を出した。
どうやら傘は買わずにすみそうだ。余計な出費の心配がなくなってホッとする。
雨があがると今度は強い日差し。典型的なゲリラ豪雨のパターンだ。まだ5月だというのに‥‥
むかしとくらべ確実に気候が変動している。季節が極端に変化し、過ごしやすい時期というのがあまりない。
梅雨にも入っていないのに早くもゲリラ豪雨の心配をしなければならないのか‥‥。
ともかくやってきたバスに乗り、15分ほど揺られて降りた場所は田園地帯のまっただなか。
車の引き取り先までは徒歩でまだ20分。ハイキングのつもりでのんびり歩きだす。
田植えが終わったばかりの水田の上を涼しい風が吹き抜けていく。ちょっと肌寒いくらいだ。
水田地帯から古い民家がぽつりぽつりと並ぶ細い道を抜けると、突然目の前に小洒落た住宅街がひらける。
むかし懐かしい風景から急に別世界に来てしまったみたいだ。しかも通りにまったく人の気配がなくゴーストタウンのように静まりかえっている。日曜日のせいかもしれないけど。
頭上にまたもや不吉な黒い雲。ふたたび降り出してこないうちに車を引き取って出発しよう。