築ウン十年の古い家なので水道が水漏れしていて、このままでは水道料金がバカにならない、
しかし水道管を修理するとなると流し台をいったん全部撤去して、新しいものと取り替えなきゃならない。
ここ数日、家に業者さんが入ってそのための大工事をしていた。
この家を建てた時の古い流し台は台所からはずして屋外へ運び出される。長いことお世話になった流し台、最後の日は軒下で雨に打たれていた。ご苦労さまの思いをこめて写真撮影。
その後台所には新しい流し台が入れられ、工事も完了。2、3日業者さんの出入りでバタバタしてたが、今日からまた静けさをとりもどした。
はじめに書いたように築ウン十年の古い家なので、これまでも何度かあちこち修繕している。
今回はひときわ大がかりな修繕だった。当然お金もかかる。はたして流し台を新調してまで直さなきゃならないことだろうか。
水道管はお湯さえ使わなければ水漏れはないという。うちはお風呂はほとんど外風呂に行くし、お湯を使いたければ湯沸かしポットで十分ではないか。
どうせ両親がいなくなったあとは独身の僕が住むだけの家だ。なんならこの家を処分してどこかに移り住むかもしれない。そんな家をこれ以上お金をかけて改修する必要はあるだろうか。
両親に対しそんなふうに僕なりの意見を唱えてみた。まあ僕の意見なんてほとんど通ったことはないんだけど。
齢八十近いおふくろが答えた。「あたしも死ぬ前にもう一度きれいな台所を使ってみたいよ」
なるほどな、と妙に腑に落ちた。どうせあとわずかしか使えないのだから古いままでも十分、というのとはまた別な考え方だ。
合理性ではなく、心地よさを優先するという考え方。ポジティブだな、おふくろ。
そのわりに新しい流し台はややタッパが高くて、おふくろにはちょっと使いずらそうなんだけど。