浦和の埼玉会館で行われた映画監督濱口竜介氏と劇作家岩松了氏のトークイベントへ足を運ぶ。
浦和は久しぶりだ。駅前に降り立つと昔からあった建物が取り壊され、なにか大きな工事の真っ最中だ。
あまりこっちの方には足を伸ばさないけど、こうして風景がどんどん変わっていき、慣れ親しんできた景色が失われていくのは寂しい気もした。
会場は定員80名ということだったがほぼ満席。カンヌ映画祭やアカデミー賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」の人気をうかがわせた。
でも司会者が会場に向かい「濱口監督の映画を観たことがある方は」と尋ねたら、手を挙げたのは半分ぐらいだったかな。あとは岩松了氏のファンの方だったのか。
トークの内容は濱口氏と岩松氏の対談という形だったので、岩松氏が演出したチェーホフ作品についての話がわりと多く、濱口氏の作品については思ったほど触れられなかった。まあ「ドライブ〜」でもチェーホフの芝居が劇中劇で出てくるけど。
監督が「演劇についてはほとんど知らない」と語っていたのが意外だった。「親密さ。」も演劇の世界の話だし、時間をかけて人間をじっくり描く濱口作品は演劇的だなーと思っていたけれど。
残念ながらチェーホフの芝居について当方はそれほど詳しくなく、個人的には濱口氏の映画についてもう少し聞きたかった気もした。公開間近の新作「悪は存在しない」についてもあまり触れられなかったし。
帰りは大宮に出てディスクユニオンに入る。
ざっと棚を見てまわるが、もう自分の欲しい作品はほとんど手元に揃ってしまっている。
最近は、これまであまり手を出さなかった昭和歌謡ジャンルをあさり始めている。
若い人たちのあいだでもけっこう昭和歌謡が話題になってるし。あらためて振り返ってみるといい曲も多い。
今日は宇崎竜童氏のアルバムが手ごろな値段で出ていたので入手。
ダウンタウン・ブギウギ・バンド時代は「港のヨーコ」で一世を風靡し、妻の阿木燿子氏と組んで「横須賀ストーリー」はじめ山口百恵の黄金時代を築き上げた人だ。もう少し評価されてもいい気がするんだけど、筒美京平などにくらべるとまだ光が当たってないような‥‥
いずれにせよ昭和歌謡の世界は、自分にとってもまだまだ掘り出し甲斐のあるお宝の山のようだ。
帰宅、ひと眠りして深夜、スカパーの歌謡ポップスチャンネルから録画した「歌のトップテン」を見る。
「ザ・ベストテン」と並ぶ昭和の歌番組だ。歌謡ポップスチャンネルはけっこう、こういった昔の番組を放送してて、当時は何気なく見ていたがいま見返してみるとまた新たな発見がある。
今回見た録画は86年にオンエアされたもので中山美穂や小泉今日子、菊池桃子らが現役のアイドルで出演、笑顔を振りまきキャピキャピしまくっている(死語)。
司会は徳さん、アシスタントは石野真子。彼女は70年代デビューなのでこの番組では脇にまわり、後進のアイドルたちを盛り立てている。この頃はもう長渕とは離婚してたかな。
80年代後半といえばおニャンコのような素人集団アイドルが主流となり、花の83年組と呼ばれていた人たちも人気に翳りを帯びてきた時期だ。小泉今日子は「なんてったってアイドル」でピークを越えた直後、まだアーティスト指向になる前だし「新曲は1年以上出してない」という三田寛子はバラエティや司会業のほうにシフトしている。
古い番組からはそんな時代背景が見えてくる。
いやー、おじさんは昔話になると止まらないねえ‥‥。