阿佐ケ谷シリーズ続きます。
さて、イベントへ向かうために家を出て駅へ向かいながら、ジムに寄ってシャワーだけ浴びようと思っていたが、ジムはコロナの影響で営業短縮、入館できなかった。
汗まみれの不潔な身体で電車に乗り阿佐ケ谷へ。イベント終了後、あたりをブラつきながら、ひと汗流してさっぱりしていこうと銭湯探しを試みる。
中央線沿線のこのあたりにはまだ昔ながらの銭湯が残っているだろう。ふだんはなかなか入る機会がない昭和レトロな銭湯を体感しようと思ったのだ。
グーグルマップで調べ、暗い路地に入り込み、しばらく歩いて「玉の湯」を発見。
うーん、由緒正しき木造建築。夜間だったので高い煙突までは確認できなかった。
併設のコインランドリー、木の下足札。まさしく四畳半フォーク「神田川」の世界だ。2人で行ったよこちょの風呂屋‥‥
最近はほとんどが純烈がコンサートをするようなスーパー銭湯ばかりだ。こういった昔ながらの銭湯に入るのは20代のはじめ、東京下町は西日暮里の風呂なしアパートに暮らしてた頃以来だろうか。子どものころ住んでた足立区の家も風呂がなくてやはり近くの銭湯に通っていた。
あれから時は流れ入浴料も470円と、僕らの頃よりはずいぶん上がってしまったが、それでもいろんな施設が一緒になったスーパー銭湯に較べればリーズナブルだ。
入ってみると脱衣所には丸い竹のカゴ、洗い場には壁一面に雄大な富士山の絵、高い天井を見上げると明かりとりの細い窓。おお、子どものころ通っていた銭湯そのままだ。
もちろんジェットバスが出来たり湯船に電流を流して全身を刺激したり(こう書くとちょっとこわい)、それなりに進化しているようだ。
残念ながら湯船は昔のままのようなので、ジェットとかいろんな設備をあとから付けた分、狭くなってしまってゆったり足を伸ばしてお湯に浸かれない感じはあったが。
最近流行りのサウナももちろん併設してあったが、利用するには別料金300円ということだった。金欠なのでサウナはパスして水風呂だけつかる。
さりげなく他のお客をチェックする。鏡に向かい黙々と身体をあらうお兄いさんの二の腕に、見事な倶利伽羅もんもんの彫り物が。
最近、公共のプールや入浴施設ではほとんどタトゥー禁止だが、やはり昔ながらのお風呂屋さんは情けがあつい。僕が子ども時代の足立区の銭湯もやっぱり彫り物入れた方々がふつうに入っていた。
気のせいか、女湯との境の壁も思っていたより低く感じる。
もともとそれほど高くもなかったのが背の低い小坊にはベルリンの壁(死語)のように感じられたのだろう。チンチンの毛もはえてないようなガキンチョにとっては禁断の聖域の前に立ちはだかる、あまりにも高いハードルだった。
などと妄想しつつ、地元の人たちに混じって湯につかっていると、気分だけでもこのあたりの住人になったようだ。とはいえ出先なので石けんやシャンプーの用意もなく、お湯で身体を流しただけで出た。場内でも販売してる のだが金欠だし持ち歩くと荷物になるし。
湯上がり気分で阿佐ケ谷の夜の街を歩き、そのまま電車で地元へ。髪が濡れていたが、ふだんからジムで泳いでそのまま電車乗ったりしてるのであまり気にならない。
ほんのひと時、中央線沿線に住んでるような錯覚を味わえた夜だった。