フェイスブックの映画グループに投稿した鑑賞メモの転載です。
映画はおもにスカパーの日本映画専門チャンネルなどを録画して見ることが多いです。ジャンルはかなり無節操。邦画多めです。
では8月の後半↓
「ゆきゆきて、神軍」
伝説のドキュメンタリー映画、ついにスクリーンで鑑賞。
いやー、劇薬だったわー。
奥崎さんという人のキャラの濃さ、自己演出にたけた演技型パーソナリティはロス疑惑の三浦和義氏とかを連想しました。
上映後の原監督のトークショーでも裏話がたっぷり聞けました。
「さがす」
ここ10年ぐらいのあいだの、世間に衝撃を与えてきたいくつもの事件をコラージュし、現代の社会が抱える問題をあぶりだす。
舞台となる大阪の街や人々が生き生きと描かれています。序盤こそ大阪のおっちゃんおばちゃんの濃ゆいキャラで和ませますが、徐々に物語は凄まじさを増していく。
親子愛、夫婦愛もしっかりと描きながら後半はストーリーが二転三転、思わぬところへ着地を決めます。
前作「岬の兄妹」に続き片山慎三監督は今回もギリギリまで攻めた映像表現。これが直視できるかと観客に挑戦状をつきつけるようです。
倫理的に受け入れられない方もいるかもしれないが、この映画と似たようなことが現実に日々起きているんだよなー。
俳優陣も力演。今年に入って観た映画の中ではいまのところ第1位です。
「遠い一本の道」
1977年作品。当時の国鉄(現JR)で働く北海道の鉄道員一家の日常を描く。
鉄道ファンにはたまらない疾走するSLの姿はもちろんのこと、旧国鉄の労働組合が製作に協力してるせいか保線作業の様子、現場の声なども生々しく、ドキュメンタリーチックです。
ドラマ部分もきちんと作られていて、井川比佐志の父親は仕事一筋だが家庭では孤立してしまい、職場の機械化、合理化にもついていけない典型的な昭和の人間です。夫を献身的に支える左幸子(本作では監督も兼任)、市毛良枝演じる娘の結婚問題など、昔のホームドラマの典型ではありますが。
山陽新幹線の岡山から博多への延伸など、華々しい話題も織り込みつつ、やはり労組が噛んでいるせいか労働環境の厳しさ訴えるイメージの強い内容です。この映画から10年もたたず莫大な負債を抱えた国鉄は分割民営化され現在のJRへと至ります。
ありし日の国鉄の姿を伝える貴重な映画です。
「教誨師」
ほぼ全編、教誨師役の大杉漣と死刑囚を演じる役者たちの一対一の会話だけで繰り広げられる息詰まるような演技対決。
映画を観るというより人間そのものを見せてくれるような作品です。録画で見た中では今年のベストワンかと。
「時をかける少女」
何度も映像化された「時かけ」ですが2006年のアニメ版では主人公の女生徒はよりアクティブに、よりスカートの丈が短くなっていて時代の変化を感じますw
作中に「タイム・ウェイツ・フォー・ノーワン」という、ローリング・ストーンズの曲のタイトルにもある言葉が出てきます。
いままで僕はこの言葉を「時は誰も待ってはくれない」というふうに悲観的なニュアンスで解釈していましたが、「時は誰も待ってはくれない(だから今やるしかない)」みたいにポジティブにとらえることも可能だなと、この映画の前向きな主人公を見て思いました。
「陽炎」
没後30年ということでスカパー日本映画専門チャンネルで五社英雄監督の作品が放映されています。これもそのひとつ、1991年公開の松竹作品です。
同じころ東映のVシネマシリーズもスタートするなど、ヤクザ・任侠路線も新しいこころみに挑戦していたようです。
この映画でもテーマ曲を聖飢魔IIが担当していたり、悪役の屋敷がアル・パシーノの「スカーフェイス」風だったりと、それまでにない感覚を取り入れているようです。
このジャンルにはあまり詳しくないのですが妖しい映像美を堪能できました。
‥‥‥以上。次は9月の前半です。