日常ゴーゴー!

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大停電現場レポート。

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いやー、まともにぶつかっちまいました、大当たりです今日の昼ごろ首都圏JRで起きた大停電。

それもちょうど電車に乗車中。下車駅の大宮に着いて、さあ降りようと席から立った瞬間です。

ガーッとブレーキがかかって列車が急停車。しばらくたっても扉が開きません。ホームに立っているお客さんたちもドアの向こうでけげんな表情です。

そのまま数分。やがてアナウンス。「前方の信号に異常があり急停車しました」

それきりまた数分。電車はホームに着いてるんだからドアさえ開けてくれりゃ下りれるのにと思ってたらまたアナウンス。「後ろのほうの車両がホームをはずれているので安全のためドアは開けられません」

まるでこっちの気持ちを見透かしたようだ。

辛抱強く待ち続けるがいつまでたってもドアが開く様子はない。アナウンスは「もうしばらくお待ちください」の一点張り。

ようやく新たな情報が発せられた。「現在停電が起きていて首都圏のJRはすべて停まっています」

なんか長期戦になりそうな気配。

もう20分近く重たいリュックを背負ったまま立ち続けている。駅に着く直前まで自分が座ってた席は、立つと同時に別の人が座ってしまったし。

車内は全席埋まっていて僕以外にも立ったままの人がちらほら。みなひと言も文句を言ったりしない。本当にみなさん穏やかな性格の人たちだ。でもソワソワと明らかに落ち着かないそぶり。

不思議なことに停電だというのに車内の照明やホームの明かりなどはすべてついている。電車を動かす電力だけがダメなのか?

あー、せっかく下車駅まで来てるのに。あと一本早い電車に乗ってたら、災難に逢うこともなく下車できたかもしれないのに。

座ってた若い人が急に立ち上がり、前にいる人に「トイレありませんかね?」

うーん、通勤電車でトイレはないんじゃね‥‥?

彼は隣の車両へ移動していったがやはり見つからなかったようですごすご戻ってきた。

ヤバい。これ以上具合が悪い客が出るかもしれん。みなさん表には出さずにいるが、そろそろガマンの限界かもしれん。

僕はふと、電車って非常のときにドアを開けるボタンか何かが車内にあったよな、と思い出した。

それとなく車内を見回してみる。閉まったままのドアの上のところに「非常用ドアコック」と記された鉄の箱。この箱の中にコックがあるのだろう。

説明書きがあるので読んでみると、どうやら開くのはコックの下のドアのみで他には影響がないらしい。

アナウンスの説明では後ろの車両がホームを外れているので安全のためドアを開けられないと言っていた。

だったらここのドアだけ開けても別に問題ないんじゃね?

他の車両の客もここから出ればいいんだし。

説明書きには「非常時以外操作しないでください」とあるが、今がその非常時じゃね?

たとえばいま車内に刃物を持った男が乱入してきたら、これはコックを開けても全然オーケーだろう。むしろ何もせずおとなしくしてたら命に関わる。今もそれと同等の非常時ではないのか。

コックの箱を見上げながら僕はしばし考える。開けるべきかどうすべきか。一歩間違えればこれはそうとうに怒られそうな案件だ。

一計を案じてスマホで大宮駅の電話番号を調べ、かけてみることにした。事情を説明し、コックを開けてもいいか一応許可をもらうために。

しかし何度かけても電話は話し中。やはり問い合わせが殺到してるようだ。

うーん、どうしよう。ふたたび思案する。この状況「打開するにはあのコックを開くしかない‥‥。

そこまで思いつめたところで救いの神のようなアナウンス。「電車を正常な位置まで動かします」

やれやれ。車両がゆるゆると2、3メートルほど前進し、ドアが開く。よろよろとホームに吐き出される。電車が止まってから、ここまで約40分。

今後もこういうことがあった時のために改札口にいた駅員さんに、こんな場合非常用コックを使用してもいいかどうか聞いてみた。

駅員さんは「うーん」と考え込んで「車内で火災が起きたときなどの場合以外はダメですねえ」

やはり禁断のドアコックだった。指を触れなくてよかった。

大宮の街をブラブラし、また駅に戻ってきた。午後3時現在、一部の路線はまだ復旧してないようだ。

首都圏のJRが全部止まったとはかなりの規模の停電だ。帰ったらニュース見てみよっと。