朝、オークション会場へ車を引き取りに行く。
このオークション会場は東京ドーム何個分かありそうなだだっ広い敷地、そこにさまざまな車がずらりと並んでいる。
ベンツやBMは当たり前、お宝級の名車からボロボロの軽まで「ない車はない」という感じ。壮観な眺めだ。
あまりに広すぎて歩いて移動はとてもムリ。会場内をシャトルバスが巡回している。
この広大なスペースから目的の車を1台探し出さなければならない。けっこうこれが至難の技だ。
1台1台ナンバーがふってあるのでだいたいの場所は分かるのだが、必ずしもナンバーどおりに停められているわけではない。しかも同じタイプの車はひとつのところにまとめられているので、近くまで来て目当ての車が見つからず、さんざんまごつく羽目になる。
陸送ドライバーをやってたのはもう何年も前で、ここに来るのも久しぶりだ。勝手がよく分からないまま、うろうろ歩きまくる。
伝票に記されたナンバーと見較べながらさんざん探しまわり、ようやく自分が運ぶ車を見つけ出してドアに手をかける。
開かない。ロックがかかっている。
あー、こういう場合はどうすんだっけ。必死になって記憶をたどる。
会場の隅に小屋があって、そこで鍵を管理していることを思い出した。最初にそこ行って鍵をもらってくるべきだった。何十台と並ぶ車の列を横切ってやっとたどり着く。すでに汗びっしょりだ。
1台運んでいくらのこの仕事。早いとこカンを取り戻してスムーズに効率よく稼がなくちゃな。