都内飯田橋のギンレイホールという劇場へ「メイキング・オブ・モータウン」「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」の二本立てを観に行った。
名画座もすっかり数を減らしたが、ギンレイは数少ないその生き残りのひとつ。
最近は自分も郊外のシネコンばかりでギンレイもすっかりご無沙汰してた。一番熱心に通っていたのは30代なかばぐらいだろうか。
二十歳前後のころはヒマがあってもカネがなく、旧作映画が二本立てで観られるギンレイは有難い存在だった。大林宣彦監督の尾道三部作などもこの劇場で観た記憶がある。
映画を観ていたら突然建物がグラグラと大きく揺れたことがあった。ちょうど新潟の中越地震が起きたときだった。
そんなことを思い出しながら地下鉄から地上に出る。
飯田橋の街じたい電車を降りて歩くのは久しぶりだ。最近かなり駅周辺が変わったと聞いていたが、それほど変化した印象はなかった。
平日だがコロナのせいか人の量はいまいちだ。街そのものが以前よりもちょっと静まりかえっている感じだった。
少し時間があったので外堀通りに面したブックオフを軽くのぞく。
昔は思想書の名著と評判が高かったジャン・ボードリヤールの「消費社会の神話と構造」が特価本の棚で投げ売りされていた。哲学や思想の世界にも流行りすたりがあるのだろうか。少し気の毒になって購入。
となりのベローチェ・カフェで時間をつぶし、角を曲がったところにあるギンレイへ。
うーん、昔のまんまの店構え。中に入ってみると前の座席との間隔がせまく、スクリーンの前にはカーテンがかかっていて「そうそう、映画館てこういう雰囲気だったよな」と記憶がよみがえる。
お客の数が多いのにも驚いた。近所のシネコンなんかいつでも客は数人なのに、ここでは半分近い席が埋まっている。感染防止のために席をひとつおきに間引いているので実質ほぼ満席の状況だ。
客席が暗くなると目の前のカーテンが左右に開き、文字どおり映画の開幕だ。
今日かかっていたうちの一本はソウルミュージック、R&Bの大御所モータウンレコードの歴史をたどるドキュメントで、休憩時間中も場内にはオールディーズバットグッディーズなモータウンナンバーがガンガンにかかっていた。
ふだん地元から出ないのでどうしても都内は敷居が高いんだが、近所のシネコンじゃかからないような作品もやってるし、これからはまめに足を運びたい。ギンレイのような劇場がこの先も残っていてほしいしね。