新しい月に入った。いよいよ春本番だ。
冬場は夜勤バイトを終えて帰るときもまだあたりは真っ暗だったがすっかり明るくなった。
4月というと新入学、新入社などでキラッキラのニューフェイスが社会へわっと出てくる時期だ。まるで冬眠から覚めた動物や虫のように(この例えはあまりよくないか)。
テレビでもこの時期やたら家具や電化製品のCMが増える。たいていそういうCMが映し出すのはオシャレでピカピカな家具や家電に囲まれた部屋での優雅な生活だ。
ターゲットはもちろん親元を離れて一人暮らしを始めた若者や新たな土地に転勤するビジネスマン。「暮らしを一新しましょう!」とさかんにあおりたてる。
そんな広告を目にするたびにもうニューフェイスには戻れない僕はやや憂うつな気持ちになる。
世の中に出てウン十年、今さら「新生活」というわけにもいかないだろう。
この「新生活」という言葉もなかなか複雑な感情を抱かせるワードで、
「いつまで古い生活をしてるんですか、早く新しいものに変えなさい!」と尻を叩かれるような気分にさせられる。十年一日変わりばえのない暮らしをしてる人間もとりあえず新生活に変えなきゃいけないみたいな。
まあ転職だけは激しかったので、そのたびに新生活してたようなもんだが。名ばかりニューフェイスかw
冬を乗り越えて陽気がよくなり、フレッシュな若者たちが社会にはばたくこの季節は、また1年が巡りひとつ年をとることを否応なく実感させる季節でもある。
春先に体調を崩したり精神的に不調の波に襲われる人が多いというのもそのせいだろう。季節も人も輝いて見えるのに、それにひきかえこの自分は‥‥みたいに思ってしまうのだ。
せめて来年、また桜の花が見られることを祈りながら、この変わりばえのしない日常をどうにか乗り越えていこう。
心機一転といいつつ、やや暗めな内容になってしまった。