前の晩、深夜2時ごろバイトから帰宅。
スカパー日本映画専門チャンネルをつけたらたまたまやっていた東海テレビ制作のドキュメンタリードラマ「約束〜名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」を見る。
50年以上前に起きた大量殺人事件の容疑者とされ死刑判決を受けた男性が再審を求めて戦った歳月をドラマ化したもの。死刑囚を仲代達矢、その母親を樹木希林が演じている。
半分以上が事件当時の映像や、その後の再審を求める過程のドキュメントなので、厳密にドラマとは言えないが。
東海テレビのドキュメンタリーは、この日本映画専門チャンネルでもたびたび紹介されているが、挑戦的な内容で評判が高い。ちょうどいま、都内の映画館でその東海テレビの新たなドキュメント作品が公開されているようだ。
この名張毒ぶどう酒事件についてもスタッフはそれこそ20年、30年にもわたって取材対象を追いかけ続けている。その時間の積み重ねというのは何よりもすごい説得力がある。関係者が年月を追うにしたがってしだいに風貌が変化していく様子までがとらえられ、時間が持つ重みを語らずとも訴える。
そして、それだけの長い歳月を獄中で死におびえながら暮らし続けている人間がいる、という事実の重さが見る者を愕然とさせる。
人が人を裁くことの重大さ、そしてその反対側に一人の人間を獄中から救いだそうと、何十年にもわたり闘い続ける人々がいる。どちらも同じ人間なのだ。
なんでこんなに他人のために一生懸命になれるのだろう‥‥再審を求める支援者の方々の姿を見て素直にそう感じた。
もう少し人を信じてもいいかもしれない、そんな風に思わせる作品だった。